国際情報

テロ問題研究者「日本はイスラム国に手を差し伸べてはならぬ」

ロンドンでは空爆反対のデモも Press Association/AFLO

 イタリア人のテロ問題研究者であるロレッタ・ナポレオーニ氏は、資金調達面からテロ組織を読み解く。著書『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』は日本でもベストセラーになった。

 現状の「イスラム国」に加え、「ヨーロッパのイスラム国」というふたつの構図が存在する──と語る彼女の分析を経ると、「イスラム国」も違った容貌で見えてくる。

 * * *
 世間が認識している「イスラム国」のイメージには、大きな間違いがある。

 私の知る限り、「イスラム国」を支持する人々がシリアやイラクの中には少なからずいる。そもそも、アメリカが発信している情報に、私は疑念を抱いている。ニューヨークタイムズ紙が掲載したイスラム国内での女性の奴隷や虐待に関する記事も、100%真実であるかは疑わしい。

 2015年10月、「イスラム国」の蛮行を告発していたシリア人活動家2人が喉を切られている遺体が発見されたと米メディアは報じた。しかし、実はこの遺体が見つかったのはトルコ領内である。本当に「イスラム国」の犯行なのかどうか。アメリカは「イスラム国」をまるで悪魔かのように報道している。

 だが、これこそが「イスラム国」にとっては、プロパガンダとして逆利用できる材料となっている。自らを悪魔と名指しする人間こそ、悪魔に違いない、と。

 ある情報網によると、「イスラム国」は、現在、欧米の爆撃により想像以上の被害を受けているという。だが中東の「イスラム国」が弱っても、「ヨーロッパのイスラム国」は依然存在する。悪魔=欧米への憎しみは激化している。

 この状況が続けば、今後半年間で、欧米諸国へのテロ報復はさらに増えるに違いない。「イスラム国」を支持する若者は、アメリカよりもヨーロッパに多く散在するため、むしろヨーロッパが標的になるのではないか、と私は思う。

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