一方、Bさんは、診察の段階で浸潤性乳がんが疑われていたが、針生検の結果は「早期がん」で、診察内容と異なる結果だった。しかしその後、再度針生検が実施され、適切な治療が行われたという。
「この過程でミスに気づけた可能性は高い」と話すのは、千葉県議会議員の丸山慎一さんだ。丸山さんは、2014年に発覚した同病院の腹腔鏡手術事故の際にも、議会で問題を追及してきた。
「10月の針生検で、Bさんは早急な手術の必要がないという結果が出ました。でも、Bさんの乳房の見た目は、その検査結果とは明らかに違っていた。目で見てもわかるほどだったのです。だから、Bさんは再検査を受け、再度、浸潤性がんだと診断されました。
時同じくして、Aさんも診察結果と針生検の結果の整合性がとれなかった。Aさんは、MRI検査を受け、画像に4つの影が映っていました。そのうち3つは“がんかどうか怪しい状態”で、うち1つは “がんの疑いが残る”だった。
このときに、何かおかしいと気づけたのではないでしょうか。Bさんの針生検の結果がおかしい時点で、検体の取り違えを疑っていれば、Aさんの手術を防ぐことができたかもしれません」(丸山さん)
しかし、事故は未然に防げず、Aさんの右乳房は全摘出されてしまった。事故調査委員会が原因を究明しているところだが、採取された検体が検査の過程で取り違えられて起きた事故だというのは疑いようがないだろう。
※女性セブン2016年1月28日号