スポーツにも同様の傾向は表われている。大相撲では5場所連続の満員御礼を記録しており、1990~1997年の44場所以来の連続記録だ。中央競馬の売得金も4年連続の前年比プラスとなっており、こちらも1997年以来の連続記録だ。

 興味深いのは、プロ野球・広島東洋カープの成績だ。1975年から2014年までの名目GDP成長率の平均が3.4%であるのに対し、広島がAクラス入りした20年間の平均は5.8%、6回のリーグ優勝時には7.4%と広島が強い年の数値が群を抜いているのだ。

 その背景には、広島が親会社のない市民球団で補強や収入に景気の影響を受けやすいことが考えられる。1997年を最後に下位に甘んじていたが、デフレ脱却を目指すアベノミクスが本格スタートした2013年にはAクラスに復帰している。名目GDPはインフレを加味した数値なので、広島はまさに「デフレ脱却のシンボル」ともいえる。

 残念ながら2015年は誤審騒動(※注)で勝てたはずの試合が引き分けとなり、0.5ゲーム差で4位に転落した。実質的にデフレは脱しているのに原油価格の下落で数値上の結果が出せない日本経済と重なるようだ。

【*誤審騒動/2015年9月12日の阪神・広島戦で延長12回に広島・田中広輔が放った打球がフェンスを越えていたにもかかわらず三塁打と誤審され、試合は引き分けで終了。広島はこの試合で勝っていれば、結果的に勝率でCS(クライマックスシリーズ)進出が決まっていた】

【PROFILE】たくもり・あきよし:さくら証券、さくら投信投資顧問のチーフエコノミストを経て現職。ESP景気フォーキャスト調査委員会(日本経済研究センター)委員、景気ウォッチャー調査研究会(内閣府)委員。著書に『ジンクスで読む日本経済』など。

※マネーポスト2016年新春号

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