作家の井沢元彦氏


加藤:十数年前、私は社命でソウルの延世大学で語学研修を受けました。そこで知り合った通訳志望の女子学生たちに、西大門刑務所の歴史展示館(*注)に連れて行かれました。すると、日本統治時代がいかにひどかったかという展示がされている。

【*注/1908年に「京城監獄」として開所。ここで「日本統治時代に独立運動家に対し残虐な拷問を行った」と称して、拷問具や拷問の様子を模した人形などを展示している。現在はその一部が撤去されたが、今も当時の「日本の圧政」をアピールする拠点となっている】

井沢:お決まりの日本人に贖罪させるツアーですね。

加藤:そうなんです(苦笑)。「それを見た日本人は普通、謝罪する」というんです。「どう思いますか」と質問された私は「これを堂々と展示する根拠はなんですか?」と聞き返しました。彼女たちは「展示されている事実が真実で、実際に何が起きたかは問題ではない」というんです。驚きました。

井沢:私は、自己中心的で他の文化を認めない朱子学の影響が強いと考えています。歴史的事実よりも「韓国にとってどうあるべきか」が大切だから、でたらめな展示物が成り立ってしまう。

 加藤さんはそんな韓国に苦しめられましたが、これからも韓国取材をするのですか?

加藤:現在は東京本社社会部に籍がありますが、社命があれば、もちろん続けるつもりです。でも、韓国には入国できないかもしれません。なにしろ出国禁止を本人に知らせない国ですから(笑)。

【PROFILE】いざわ・もとひこ 1954年生まれ。週刊ポストで『逆説の日本史』を連載中。2月5日、『逆説の日本史 別巻5 英雄と歴史の道』(小学館文庫)が発売。

【PROFILE】かとう・たつや1966年生まれ。1991年産経新聞東京本社入社。社会部、外信部などを経て、2010年からソウル特派員。2011年、ソウル支局長。現在は社会部編集委員。裁判の経験を綴った『なぜ私は韓国に勝てたか』(産経新聞出版)が発売中。
 
※SAPIO2016年3月号

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