しかしXの告白のうち、本誌が掲載できたのは一部に過ぎなかった。膨大な証言の中に「大物」に関する「危なすぎる暴露」が含まれていたからだ。Xはこの時、現役時代から覚醒剤にも手を出していたと語り、こんな重大発言をしていた。
「清原(和博)さんとも覚醒剤をやっていました」
清原と薬物の関係については、当時既に警察に聞かれていたという。
「警察は現行犯で清原さんを引っ張りたいと言っていました。私は清原さんに関する供述については(警察で)サインもしています」
最近になって、Xへの捜査を端緒に警察が当時、清原の周辺捜査を行なっていたことが報じられた(9日付、時事通信)。ただこの時、警察は証拠を掴めなかったようだ。本誌も同様で、影響の大きさから掲載には慎重にならざるを得ず、証言は封印されることになった。
あれから10年。清原の過去を知るXは再び脚光を浴びている。だがX自身の風貌を大きく変えたように、そこには長い歳月が横たわり、証言内容も彼の記憶そのものも断片的なものとなっている。しかし10年前、裁判に臨むため、自身の記憶を整理していた状態でXが本誌に語った証言は生々しく、ディテールに富み、極めて具体的であり、しかも膨大なエピソードだった。
※週刊ポスト2016年2月26日号