老後資金で重要な役割となる退職金の受け取り方も注意が必要だ。退職時にすべて受け取る一括方式と、分割でもらう年金方式があるが、一括なら退職所得控除が適用され、たとえば大卒後65歳まで同じ会社に勤めた場合、2410万円までは非課税となる。一方、年金形式だと毎年課税されるケースもあり、税制面では一括がお得といえる。
「とはいえ、受給の時期と自分の運用能力も加味した方がいい。ここ1~2年で定年を迎え、まとまったお金を自分で運用する自信があれば一括で受け取った方がいい。定年はまだ先で運用に自信がなければ分割という選択肢も考えられます」(深野氏)
老後資金をどう確保するか。「転ばぬ先の杖」ではないが、その判断は早いに越したことはない。
※週刊ポスト2016年2月26日号