和食の歴史やマナーなど和食のすべてがわかる『和食に恋して』の著者で、京都ノートルダム女子大学の鳥居本幸代教授が、「質素な食事」について教えてくれた。
「どこからどこまでが質素で、どこから豪華なのかと線引きするのは難しいと思いますが、和食の基本の食事形式は“一汁一菜”で、ご飯と香の物があって、それに汁物と、菜はおかずが一皿。質素な食事といわれて、多くの人がイメージするのはこうした献立だと思います」
魚などが庶民の食卓に上がるようになったのは江戸時代以降。今では一年中、どんな野菜でも、魚も肉も手に入り、飽食の時代で、大量の食品廃棄が問題になるほど。
「でも、魚や肉が朝食にあるとぜいたくだなって思います。ぜいたくって、経済的なことじゃなくって、なんていうか、心に余裕があるんだなって思う。うちも周りもそうだけど、朝は夫と子供2人のお弁当を作って送り出しているから、朝食は食パンをかじって行ってもらうことが多いですからね。一汁三菜の食事なんて、盆か正月くらいなもんですよ(苦笑)」(神奈川県在住・45才主婦)
飯間さんが、梨花の朝食を見て言う。
「写真を見るとそれほどぜいたくをしているようには見えないというのが個人的な感想です。例えばこれがいくらであれキャビアであれ、一点豪華主義でぜいたくなものがあった場合に、それを指して“質素”だと言ったところで批判すべき問題ではないと思うんです。だって、もしかしたらこのいくらは晩ご飯の残りかもしれないし、わからないですよね?
このいくらがあることで“質素じゃない”と思っても、“おいしそうですね”と言えばすむこと。これは質素かどうかの問題ではないと思います。面と向かってだったら言えないのに、顔が見えない関係だからといって何を言ってもいいんだという考え方の甘さがあるような気がしますね」
※女性セブン2016年3月10日号