今後、安全性が疑問視された機能性表示食品は、事業者や消費者庁に改善を促しながら、そのやり取りや評価結果をホームページで公表していく構えだ。阿南氏がいう。
「玉石混交の健康食品の世界は、確かな科学的根拠をもとに、消費者に分かりやすい情報を示して買ってもらうのが基本。それは機能性表示食品も例外ではありません。いくら自己責任といっても、似たような成分の入った商品が違う値段で売られていたら消費者も迷ってしまうでしょう。
だから、販売後でもいいので、個別商品の科学的根拠がきちんとなされているかを検証し、問題があれば指摘していく体制づくりが必要だと考えました。アメリカではcGNPといった食品品質の基準が厳格に決められていて、それ以外のものは売ってはいけないことになっています。
日本も例えば農水省傘下の『FAMIC(独立行政法人農林水産消費安全技術センター)』のような公的機関が一括で検証し、原材料の品質基準や類似商品の比較などができるようになれば、もっと良い制度になっていくと思います」(阿南氏)
前出の小泉氏も、科学的根拠を示す治験・評価機関の一本化という点では阿南氏と同じ考えを持ちつつ、こんな指摘をする。
「機能性表示食品は病気の人の症状改善や予防を目的としたものではありません。また、大手メーカーから出ている商品だからといって、必ずしも体に対する効果が高いということもありません。
実際に購入したら自分なりの効果を確認し、疑問があれば成分を調べたりメーカーに問い合わせしたりする。消費者自身がさまざまな情報を見極めることも、これからの時代にはますます必要になってくるでしょう」
過大な広告を鵜呑みにせず、バランスよい食生活を心掛けることが健康増進の近道だという大前提を忘れてはならない。