2月10日、東京大学は、今年度からスタートした推薦入試で77人が合格したと発表。同日、京都大学も、初めて実施した特色入試で59人が合格したと発表した。
一般入試とは「別枠」になり、出願者の人物像を重視するといわれる、いわゆるAO入試(アドミッションズ・オフィス)。今後さらに普及することは間違いない。すでに私立大は、生徒の5割以上が推薦・AO入試で入学しており、国立大でも現在15%ほどの定員を2018年までに30%に拡大することを検討している。
今後、受験生はAO入試にどう臨むべきなのか。『AO入試・推薦入試のオキテ55』の著書をもつ鈴木鋭智さんはこう語る。
「自分の将来のビジョンがあって、小論文が得意で大人とスムーズに会話できる子はAO入試に向いています。大学にとってAOは、いわば、今後4年間育てる“弟子のオーディション”なので、将来の夢やコミュニケーション能力がある人が評価される。
とはいえ、AO対策ばかりしていると、落ち続けた時につぶしがききません。本当に行きたい大学にはAOで挑戦し、滑り止めの一般入試対策も必要でしょう」
今回の東大入試を、精神科医で受験アドバイザーの和田秀樹さんは評価している。しかし、これから先には懸念もあるという。
「大学側が質の高い選抜をしない限り、受験テクニックを研く“AO予備校”の力がさらに強くなるはずです。すると、予備校に通わせる余裕があり、受験に集中できる中高一貫の生徒ばかりが有利になる。
実際、すでに、東大合格者のうち、年収400万円以下の家庭の子供は約14%しかいません。家庭の経済力の差が子供の進路にますます直結することになるので、国としての対策が必要でしょう」(和田さん)
「AO=アホでもOK」。こう揶揄されることも少なくないAO入試。次代を担う若者を育成するための課題は多い。
※女性セブン2016年3月10日号