ライフ

花粉症の根治療法として期待される「舌下免疫療法」の評判

花粉症の苦しみから開放される日は来るか

 鼻水にくしゃみ、目のかゆみが止まらない──花粉症の人には辛い季節が今年もやってきたが、そんな苦しみから一生解放されるかもしれない驚きの「根治療法」に注目が集まっている。40代男性・Aさんは、10年以上にわたって花粉症に苦しめられてきた。

「毎年2月に入ったくらいから鼻がムズムズしてマスクが手放せなくなり、ドラッグストアで薬を買ってなんとか乗り切ろうとしていましたが、花粉が多く飛ぶ晴れた日は外出する気分にもならなかった。常にイライラしているから家族や職場の部下にも些細なことで怒鳴ったりしてしまっていた」(Aさん)

 ところが、一昨年から「全く新しい治療」に取り組んだところ、症状は大きく変わったという。

「去年は、花粉症シーズンの真っ只中でも、目のかゆみが少し出る程度まで改善しました。花粉の多い日は市販薬を併用していましたが、夜中に鼻づまりで眠れないといったこともなくなりましたね」(Aさん)

 日本人の5人に1人が悩んでいるともいわれる花粉症。その“国民病”の画期的な新治療法の成果が、徐々に明らかになってきている。

 Aさんが始めたのは「舌下免疫療法」と呼ばれる治療法だ。医師の指導を受けながら、舌の裏側の付け根に毎日、少量のアレルゲン免疫療法薬「シダトレン」を垂らすだけというシンプルな治療だ。

「先生からは3か月程度続ければ症状を和らげる効果があり、数年続けると完全に症状がなくなることも期待できるといわれました」(Aさん)

 この治療が保険適用になったのは2014年10月から。それ以降に治療を始めた人たちから、症状が改善したとの声が聞こえ始めているのである。日本人の花粉症の7割はスギ花粉が原因とされているが、「舌下免疫療法」はスギ花粉へのアレルギー反応そのものをなくしていく治療法だ。

 先に花粉症のメカニズムを簡単に説明すると、まず体内に吸い込まれたスギ花粉が免疫細胞によって「異物」と認識されることで抗体が作り出される。

 その抗体が鼻などの粘膜にはたらきかけてスギ花粉を体外に排出させようとする。その反応が激しくなると鼻水やくしゃみ、涙が止まらなくなるのだ。本来、とくに害がないはずのスギ花粉に、体が過剰反応してしまっている状態である。花粉症治療に詳しい慶友銀座クリニックの大場俊彦・院長が解説する。

「これまでの花粉症治療としては、投薬治療と外科的な治療の2つがありました。投薬は抗アレルギー薬と呼ばれる薬を使って、アレルギー反応のなかで分泌される体内物質のはたらきを抑制し、鼻づまりや目のかゆみを和らげます。

 外科的な治療としてはレーザー治療などがあります。花粉症になると下鼻甲介と呼ばれる鼻の中の突起部分の粘膜が大きく腫れあがり、鼻水や鼻づまりの原因となります。その部分をレーザーで焼いて小さくすることで症状を改善しようとするものです」

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン