スポーツ

広澤克実氏 キャンプ視察で絶対に練習内容に口出しせぬ理由

広澤克実オフィシャルブログより

 プロ野球キャンプを巡る報道を見ると、大物OBがキャンプ地を訪れ、「急遽、○○に指導を行った」といった類の記事がしばしば見られる。時に「ガーンと行け」などの精神論に頼りがちな大物OBの指導は、その是非が問題視されることもあるが、OBたちは、ただ威張りに行っているわけではない。それぞれが球界を良くしようと考え、また彼らなりに努力をしている。

 例えば近鉄などで活躍した若手OBの一人である金村義明氏は、評論家になった当初から、キャンプでは朝一番に球場に行って選手を迎え、12球団すべてを回ることを心がけていた。栗山英樹氏も12球団を回る真面目な性格で知られ、その評価もあって、現在の日本ハム監督の座を掴んだともいわれている。

 ヤクルト、巨人、阪神で4番を打った広澤克実氏は、こう語る。

「僕は大御所でもないし、それほど実績もない。だから評論家としてキャンプを視察に行ったときには、絶対に練習内容には口出しはしません。現場のコーチに失礼ですから。子供たちの野球教室でも同じこと。いつも指導者が右と教えているのに、一度だけ訪れた僕が左と教えたら、子供たちにも指導者にも申し訳ないと思うからです」

 若いOBには広澤氏のような考え方を持つ人物が増えた。一歩引いた立場で球界を支えている。

 その意味では確かに指導してしまうのは大御所と呼ばれるOBが多いかもしれない。だが彼らは、現在の選手が到底届かないような大記録を打ち立てた実績、さらにはプロ野球の黎明期を支え、現在の繁栄を導いた立役者でもある。

 そのおかげで今のプロ野球があるという感謝と、敬意は忘れてはならない。選手にはOBの言葉に耳を傾ける義務があるのだ。「ありがた迷惑」だなんて思ってはいけないのである。絶対に。

※週刊ポスト2016年3月11日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン