「思い出す努力をしますので、お待ちいただくようお願い申し上げます」(10秒間沈黙)
「思い出せません」
号泣会見から約1年半、野々村竜太郎元兵庫県議(49才)は、再び“時の人”となった。先月から開かれている裁判では、スキンヘッドにジャージー姿などで出廷し、「記憶にありません」「右耳を集中させます」などを連発し、検察官や裁判官どころか弁護人からも呆れられる始末。その野々村元県議が繰り返し主張するのは、「記憶障害」という病に罹っているということ。
どんな病気なのか?
記憶障害には大きく分けて5つのパターンがある。
【1】「短期記憶障害」…今日の日付を忘れる、会話中に何度も同じことを聞く
【2】「長期記憶障害」…通った小学校の名前や自分の就いていた職業が思い出せない
【3】「エピソード記憶の障害」…人生の中で経験(結婚、出産など)したことを忘れる
【4】「手続き記憶の障害」…料理、洗濯など体で覚えたことができなくなってしまう
【5】「意味記憶の障害」…言葉の意味を忘れてしまい“あれ、それ”が多くなる
原因について、東京都健康長寿医療センター研究所・老化脳神経科学研究部長の遠藤昌吾さんが言う。
「記憶障害は脳へのダメージ(強い衝撃、薬物、アルツハイマー病などの神経疾患など)や心因性のストレスなどが原因で、その障害の時点から“新しい記憶を形成できなくなる”か“過去の記憶をなくす”かの症状が表れることをいいます。治療法は原因によってさまざまですが、もし記憶障害が疑われたら神経内科、心療内科か物忘れ外来で診てもらいましょう」