ネットでは後者のような反応があまりにも多く、これはあまりに残念な状況である。本来こうした成功者のことは「税金たくさん払ってくれてありがとう」ぐらい言ってもいいし、彼女の新たな取り組みは先が読めないだけに、壮大なる実験というか後進のための人身御供的な側面もありリスクを取っているのである。
彼女も時に「貧乏人は自分に起きたことを全部人のせいにする」と挑発してさらに叩かれるわけだが、日本に元から巣食う「やっかみ」「嫉妬」「出る杭を打つ」の感情は24時間総ネット社会の今、いよいよ本格的に花開いてきた感がある。
彼らは猛烈なバッシングを重ね、挙句の果てには「はあちゅうに騙されて同じ道を進み、惨めな人生を送る人が出たらどうする?」と勝手な心配をする。というか単にバッシングをすることの正当な理由を後付けしているだけであり、カネを稼いでいる様を見せつけられているのが悔しくて仕方がないだけだ。
もし、彼女が「色々試したけど、月収4万2000円ですぅ?」と書けば、米や味噌が全国から届くだろう。というか、彼女を叩く皆様へ、所詮は他人の人生ではないか。余計なお世話過ぎるし、もっと家族や友人のために時間を使ってやれよ。
●なかがわ・じゅんいちろう/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウオッチしてレポートするのが仕事。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』など。
※週刊ポスト2016年3月18日号