マイナス金利の導入を受け、お金を銀行に預けていても仕方がないと考えた人が多くなったのか、金への投資が活発化している。金ETF(上場投信)や純金バー、金貨のほかに純金の仏像・仏具も売れているという。一部の取引会社などの店頭には、純金製の仏像や仏具がずらりと並んでいる。
「このところ、数百万円から1000万円以上もする純金製の仏具である『お鈴』が売れている。500万円ほどする高さ10cmほどの純金製の仏像なども人気だ。
これにはワケがあって、お鈴や仏像は、税制上『祭祀財産』に分類されるので、相続税の課税対象外になることがあるからです。昨年からの相続税増税もあって、富裕層の間では話題になっているようです」(百貨店業界関係者)
まとまった資金がなければ手が出せないとはいえ、税金対策にもなり、金の価格上昇も期待できるとなれば旨みが大きいと考える購入者も多いだろう。ただし、税務のプロからはこんな指摘もある。
「500万円以下で、重さは1キログラム程度までのものならまだしも、それ以上になると、税務署からは仏具ではなく『金塊』と見なされる可能性がある。手元に置いておくことによる盗難リスクもあります」(税理士でファイナンシャルプランナーの松浦章彦氏)
どこまでメリットがあるのかはグレーな部分も多いようだ。もちろん、そうしたことが話題になること自体、資産としての「金」の価値が大きく見直されていることの証左である。
※週刊ポスト2016年3月18日号