◆習近平の汚職情報
本誌はこのたび、あるアメリカの民主活動家を通じて、同書の電子書籍版の全文(136ページ)を入手した。
習氏が主人公の小説仕立てで、初恋から最高指導者になるまでに出会った、6人の愛人との関係が中心だ。
〈作者は手中にある詳細な一次情報をもとに、あの男の知られざる様々な色事を読者に提示している〉(編集部による「まえがき」より)
たとえば習氏は若手時代、上司から「風紀が乱れていると注意された」ことがきっかけで交際女性に別れを告げる。そこで交わされる彼女との会話はこうだ。
〈「あなたの身体は牛のように立派なのに、女性がいなくて我慢できるの?」
「レーニンは、真の共産主義者はあらゆる苦難に耐えられると言った」
「うそつき」〉
最後は意味深だが、意外にも習氏を真面目で誠実な人物として描いている。近年、香港では習氏の批判本が相次いで発売されているが、同書の書き方はそれらとは一線を画している。
同書によれば、習氏はなんと天安門事件のリーダーの一人とも関係を持ったというから驚きだ。事件の渦中に、習氏はそのリーダーから言い寄られる。
〈「1か月以上我慢続きで、男とも会っていない。私として欲しい」
「きみには(同じく活動家の)夫がいるんじゃないか」
「その人はもういいの。あなたらのピストルが鳴ってから、あいつのピストルはまるで使いものにならなくなった。共産党は大嫌いだから、今日は共産党の代わりにあなたに借りを返してほしい」〉
そうして二人は関係を結ぶという、何とも唐突な展開である。そのほかにも真偽不明の描写が続く本書は、小説の体裁を取ったゴシップ本と言っていい。
※週刊ポスト2016年3月25日・4月1日号