日本歯科医師会が公開した65才以上の約2万人を対象に行った調査によると、自分の歯が20歯以上ある人に比べ、0~9歯しかない人の死亡率は1.7倍と、歯が少ない人ほど寿命が短くなることが明らかに。歯を治すというと、虫歯や歯周病に目がいきがちだが、問題なのはゆがみとかみ合わせ。これが虫歯をはじめとする体のさまざまな不調を引き起こしていた。
「かみ合わせのズレや顔のゆがみを、単なるクセや個性として片づけてはいけません」
そう語るのは、かみ合わせ治療に詳しい歯科医・青木聡さん。
「口のトラブルというと、虫歯や歯周病などが代表的ですが、かみ合わせのズレは、虫歯や歯周病のリスクを高め、頭痛や倦怠感、寝つきが悪いなどの不調を引き起こすことも。また、かみ合わせのズレは、顔や姿勢のゆがみにもつながり、実年齢より老けて見えるなど、実はとても厄介です」
乳歯から永久歯に生え変わるタイミングや虫歯治療後などに、歯の並び方が変わることで、人間は無意識に噛みやすい方に口を動かしてしまう。そして、かみ合わせがズレたまま噛み続けることで、ほほにある噛むための筋肉・咬筋の片側だけに強く負担がかかり、その結果、顔もゆがんでしまうのだ。
「口を大きく開けると顎が痛かったり、噛む時に上下の歯がズレるなどかみ合わせに違和感がある人は要注意。そうなると専門機関での治療が必要です」(青木さん)
また、かみ合わせがズレてしまうと食べ物をきちんと咀嚼できないために、肥満や糖尿病などを引き起こすという研究結果もある。予防歯科を提唱している歯科医・長尾周格さんは言う。
「かみ合わせを正すことは、見た目の美しさだけでなく、歯の寿命を延ばすことにもつながります。口は消化器官の入り口ですから、かみ合わせがよくなると、食べやすくなり、効率よく栄養を吸収できるのです」
※女性セブン2016年3月31・4月7日号