こうしたワイルドはるかは、2013年の主演作『八重の桜』を思い出させる。八重は明治新政府軍に対抗した会津の武家娘として、自ら銃をとり「ならぬものはならぬ」と戦った。土煙の中、すっくと立つ八重もきりりとカッコよかった。さらに、もうひとつ映画『ICHI』の盲目の女三味線弾きも忘れちゃいけない。旅をする居合名人、市。勝新太郎、北野武、松平健が演じた役に綾瀬は体当たりで挑んだのだった。
一方で昨年の『紅白歌合戦』の司会姿をはじめ、いつもの綾瀬はるかも活躍。『精霊の守り人』のPR 番組でも真っ白いワンピースでより素肌の白さが際立った。「生きることを恐れるな!」とチャグムに厳しいバルサとは別人かと思うほど、他の番組ではコロコロとよく笑うのも印象的。まるでこの世には、命がけの戦いを繰り広げる黒はるかと天然モードでふわふわと明るい白はるかが存在しているようだ。
『精霊の守り人』には、綾瀬のほかにも、朝ドラマ『あさが来た』で可愛い奉公人ふゆを演じた清原果耶が若き日のバルサを演じて、色黒メイクに。もっとすごいのは、呪術師トロガイ。直系1メートルはあろうかというもさもさの白髪に深いしわ。特殊メイクに5時間かけたという色黒フェイスのトロガイを初見で「高島礼子」と見破るのは無理ってもんですな。吉川晃司が演じるバルサの養父の名前が「ジグロ」だと知った時には、つい地黒?と思ってしまったが、これから3年、黒はるかのさらなるアクションにも期待したい。