昨年夏、英医学誌に掲載された米ワシントン大学の研究論文により、世界に広がる高血圧リスクが浮き彫りとなった。
2013年に3080万人を死に至らしめた79の死因リスクを分析した結果、“世界一多い死亡の原因は高血圧”であることがわかったのだ。
健康に明るい老後を楽しむために、俗説や誤解に惑わされない“高血圧の新常識”を身につけたい。
「お酒は飲むと一時的に血圧が下がるものの酔いざめに血圧が上がるため、純アルコールにして男性30ml、女性20 ml以内の適量を守るのが大切。また、高血圧患者の半数は肥満気味とされますが、1kg減量すれば1.7~2mmHgは血圧が下がります」(聖路加国際病院サテライトクリニック所長・久代登志男さん)
たばこは高血圧の根本的な原因にならないが、心臓と動脈の病気予防には禁煙が必要。
高血圧の改善には運動が大事だが、過激なメニューは禁物。とくに筋トレのような無酸素運動は、一瞬息を止めてグッと力を入れるため、血圧が急上昇してしまい、危険だ。
運動をするなら、ウオーキングや水泳などの有酸素運動を、適度に行うのが理想的。そしてもう1つ、久代さんがおすすめするのが、『タオルグリップ』エクササイズだ。
「タオルグリップはカナダで開発されたハンドグリップの応用版で、タオルを丸めて握るだけの簡単なもの。筋トレと同じ等尺運動ですが、最大握力の30%程度の力で握るので、グリップ中血圧上昇は少なく、普段の血圧低下が期待できます」(久代さん)
巻いたタオルを握っている間は血流が滞り、手をゆるめると血流が増えNO(一酸化窒素)が出る。NOには血管を広げ柔らかくする働きがあるため、血圧が下がる可能性があるという。
※女性セブン2016年6月16日号