ドラマの撮影の合間、内藤がカメラマンなどに最新のカメラやドローンを使った撮影方法などについて熱心に聞いていた姿が印象的だった。あらゆることを知識として取り込もうとしているのだ。
また、もう何年も前から実践していることがあるという。
「自分のエンジンのガソリン」だという「言葉」を豊かにするため、他人との会話の中に出てきたひと言、ドラマの台詞、たまたま読んだ文章などの中に“これはいい”と思うものがあると、紙切れに書き、それを自宅の自室の壁に貼るのだ。そして、言葉が自分の中に沈着したら剥がす。そんな言葉がつねに5~6枚貼ってある。
「そういう風に、僕にはいろんなところに師匠がいるんです」
俳優として特定のイメージに染まらず、自分にいくつものルールを課すことで、内藤は今の自分を確立したのである。
【ないとう・たかし】1955年5月27日生まれ。大阪府出身。日本大学芸術学部映画学科在学中に自主製作映画で注目される。中退し、文学座研究所を経て、1980年に『ヒポクラテスたち』で商業映画に役者デビュー。『警視庁・捜査一課長』(テレビ朝日系)で捜査一課長役を演じるほか、4月から『土曜スペシャル ナイトウ旅行社』(テレビ東京ほか)で情報系旅番組の司会を務める。また、情報番組『スタイルプラス』(東海テレビ)での司会は今年で10年目。7月に映画『海すずめ』が公開。
●撮影/橋本雅司 ●取材・文/鈴木洋史
※週刊ポスト2016年6月17日号