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2016.06.15 16:00  SAPIO

韓国で日式居酒屋が流行 「福島の水が来るのは韓国が最後」

ソウルの繁華街にある「最高の居酒屋トリゴヤ」の外装

 いま韓国では日式(日本風)居酒屋が大流行している。東日本大震災後、日本の海産物を忌避したり、慰安婦合意に際しては日本政府を批判するなど日本にネガティブな言動をとりながら居酒屋に限っては、日本文化を選択するのは一体なぜか。韓国人の相反する感情の心奥に迫るべく、ノンフィクションライター・前川仁之氏に、韓国ルポを依頼した。

 * * *
 ヒカリ、オトコ、トリゴヤにゼンシュウヤ…いずれもソウル市中心部の繁華街に軒を連ねる日式(日本風)居酒屋の屋号だ。他にも「笑笑」や「がってん寿司」、それに「キリンバー」など日本風の酒食を供する店はいくつもある。

 余談だが、「タマネギ」という店を見つけ、これも日式かと思って入ろうとしたら「ゲイバーです」と言われた。どういう由来か知らないが、まぎらわしい。

 今回私に与えられた任務は、日式居酒屋の実情を調査し、客と仲良くなり、日本についての本音を聞き出すことだ。

 一年ぶりのソウルにやって来て、一軒目のカウンター席に腰を下ろした瞬間、自分の見通しの甘さに気づかされた。近年変わりつつあるとはいえ、私のような「お一人様」は、韓国外食文化にあっては依然として異端であり少数派だ。見知らぬ韓国人と共に飲んで語り合うのが今回の任務だが、これでは文字通り、話にならない。

 おまけに、客の多くはカップルときている。そして彼らの座るテーブル席は、ブースとかボックスとか呼ぶとしっくりくるような構造になっている。他人同士の距離が近く、なんとなく一期一会の会話が芽生えることも珍しくはない屋台、天幕や地方都市の飲食店とは勝手が違うのだ。

 四軒目にしてようやく、同世代の韓国人女性と一緒に飲める運びになった。と言っても店内でアタックしたわけではなく、別のところで知り合っておいてから「居酒屋で飲みましょう」と持ちかけたのだ。ナンパのようなものと思って下さればよい。

「今日はあなたがゲストだから奥に座ってもらった、これが日本式です。韓国にも席順のマナーはありますか?」

「ないと思います」

 会話はそんなふうにして始まった。彼女は友人と会食する時などに居酒屋を利用するそうで、「やっぱりアメリカやヨーロッパと違って同じアジアの国だから雰囲気が親しみやすいんだと思います」と自分なりに人気のわけを考えてくれる。大事なのは雰囲気だ、と。

「でも、人それぞれに理由があるんじゃないでしょうか。とにかく、両国間の問題とは関係なく、映画や漫画を楽しむように居酒屋も楽しんでいるのですよ」

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