ドラフトではどの球団が当たりくじを引くのか。同じ1994年生まれの大谷翔平(日本ハム)や藤浪晋太郎(阪神)と投げ合う日が待ち遠しい。
「ドラフトについてはまだ実感がわきません。その時、自分がどういう気持ちになっているのか、なかなかイメージできないんです。大谷君や藤浪君にも、『同い年だから負けたくない』という特別な意識はありません。僕の中では2人とも、たとえば巨人の菅野(智之)さんのような、プロの一流の投手のひとり。単純に『凄いなァ』と思いながら見ていますね」
当面の目標は大学野球秋季リーグでの優勝。「ドラフトへの実感はない」の言葉に嘘はないだろう。しかしその一方で、プロの世界に踏み込む自分の姿を思い描いていることも事実だ。
「どこのチームに指名されても、自分のやることに変わりはありません。選手層の厚いチームなら、チーム内の競争に勝たなければいけないし、早目に一軍のマウンドに立たせてもらえるチームなら、プロの一軍の打者と対峙しなければいけない。
いずれにしても、今の自分では力不足。もっと変化球の精度を上げなければプロでは通用しない。ただ、あえて希望をいえば、親会社の経営がしっかりしているチームがいいですね(笑い)。チームを強くしようという姿勢が見える球団。そういう環境でプレーしてみたいです」
判断基準は、野球のカラーではなく、親会社の経営姿勢。大学で経営学を専攻している彼らしい考え方だ。その視点もすでにプロレベルである。
◆たなか・せいぎ/1994年7月19日生まれ。神奈川県出身。「せいぎ」という名前は兄姉の提案でつけられた。7歳の時に野球を始める。創価高時代に一時外野手に転向したが、創価大では投手に再転向。新東京大学野球リーグ戦での通算成績は16勝1敗、防御率0.37。2015年秋の共栄大戦ではノーヒットノーランを記録した。3月の侍ジャパンの強化試合(台湾戦)で招集オファーを受けたほどの逸材(体調を理由に辞退)。座右の銘は日進月歩。好きなタレントは女優の松岡茉優。186cm、89kg。右投げ右打ち
撮影■藤岡雅樹 取材・文■田中周治
※週刊ポスト2016年7月1日号