今回の背景には、高齢化が進むなかで注目を集める「在宅医療」の構造的問題があると、この分野のパイオニアとして知られる長尾クリニックの長尾和宏院長がいう。
「多くの医師が在宅医療に続々参入していますが、終末期医療や在宅緩和ケアに関する教育体制が追いついていません。皮膚科や眼科など緩和医療の研鑽を積んでいない医師が、末期がんの在宅患者を診ている場合もあるのが実情です」
A氏が経営する診療所に取材すると、「(巨泉さんのことも裁判のことも)何も答えられない」というのみだった。
終末期における治療には、慎重な対応が求められる。
※週刊ポスト2016年8月12日号