ドラマ『スケバン刑事』での主演から7年経った1992年、南野陽子はエイズ問題に真っ正面から向き合った『私を抱いてそしてキスして』で熱演。『オールナイトフジ』の司会を務めた麻生祐未は同年、『課長島耕作』で抱かれた。清純派のイメージの強かった富田靖子は1995年、『南京の基督』で濡れ場を魅せてくれた。
脱ぐことで確固たる地位を築いていった女優もいる。1994年、22歳の高岡早紀は『忠臣蔵外伝 四谷怪談』の行水シーンで豊満な胸をさらけ出し、脚光を浴びた。2005年の『フィーメイル』では後背位で挿入され、「後ろからされるの初めて」「いろんなところが擦れて気持ちいい」と官能的に喘いだ。現在もフェロモンのある女優として誉れが高い。
「脱ぐはずの場面で脱がないと、作品としての価値が落ちます。かたせ梨乃さんや高岡さん、杉本彩さんなど裸を厭わない女優には観客も覚悟を感じるし、評価につながる。彼女たちが証明しているように、乳首を見せるか見せないかはゴールではない。乳首を出すことはスタートなんです」(映画コメンテーター・有村昆氏)
21世紀に入ってからも、2008年『蛇にピアス』の吉高由里子や2014年『愛の渦』の門脇麦のようにデビュー当初に覚悟を決めて脱いだ女優は大きく羽ばたいている。一方で、ヌードシーンが減ってきていることも事実。有村氏が声高に叫ぶ。
「近年、CMが女優にとって最もギャラの良い仕事になっており、契約上の制約もあって脱ぎづらくなっている。実際、映画で脱いでも、CMの数分の1しか身入りがないんです。この現象をひっくり返すため、日本国民一人一人が劇場に足を運び、映画の濡れ場の価値を高めようではありませんか」
※週刊ポスト2016年8月12日号