ライフ
2016.08.19 16:00 SAPIO
村西とおる氏がフェミニストを黙らせたひと言

帝王にはいまも賛辞と批判の声が交錯する(写真:アフロ)
“前科7犯・借金50億円”が、村西とおるの枕詞になって久しい。AVの帝王の名を欲しいままにしてきた村西監督は、過去にわいせつ図画販売罪等で逮捕されてきた。
「人を殺したり、人の物をかっぱらったりしたわけじゃないからね。国が違えば絶対犯罪にならないことだからね。ヘアと性器が見えて罪になるのは日本だけ。先進諸国においてはどこでも許されることだから。だから罪の意識がないんです。罪の意識をもてないところに苦しみがありますよね、猥褻罪は」
顔面シャワー、駅弁、ハメ撮り。AVの定番を生み出してきた村西とおるは、常に取り締まり側とフェミニズムからの厳しい視線を受けてきた。海の向こうで逆風が吹くこともあった。
ド派手な撮影ロケをハワイで敢行し、以前からターゲットにされていた村西とおる撮影隊は1986年暮れ、FBI・ハワイ警察・税関の3チームによって逮捕され、村西とおるは懲役370年という超長期刑を求刑された。アメリカ側の捜査チームが村西逮捕の際に発した暗号が「トラ・トラ・トラ」だった。これは真珠湾攻撃の際、日本海軍が発した暗号であり、アメリカ側が意趣返しに使ったとされた。
長期の裁判闘争で司法取引に持ちこみ、半年後、村西とおるは無事日本に帰国できた。AVの帝王として活躍してきた男に対し、いまも賛辞と批難の声が交錯する。
「あるフェミニストが賢しら(さかしら)な顔して聴いてきたんだよ。“村西さん、そんなこと言ったって、もしも貴方の娘さんがAV女優だったらそれを許すんですか!?”って。“バカ言ってんじゃないよ。俺の奥さんが元AV女優なんだよ”って言ったら黙っちゃった。ざまあみろ(笑)」
リベラル派も保守派も性を「忌まわしいもの」として、そこで働く人間を蔑視する風潮がある。性差別主義者から吹き付ける逆風を、村西とおるはいまも先端に立って受け、AV業界の守護神たらんとする。
【村西とおる】1948年福島県生まれ。勿来工業高校卒業後上京、幾多の職を経てビニ本・裏本の帝王となるも、1984年逮捕。出所後はAV監督に。『SMぽいの好き』(クリスタル映像)が大ヒット。1988年、ダイヤモンド映像を設立、拡大経営が仇となり、借金50億円を背負う。
●文・本橋信宏(ノンフィクション作家)
※SAPIO2016年9月号
関連記事
トピックス

「山口組若頭射殺事件」 最後の生き残り・中野太郎元会長の死

東京五輪中止なら「湾岸タワマン」の価格相場は本当に下がるのか

慰安婦問題 日本の拠出金の「残りの5億円」が韓国内での火種に

桐谷美玲と三浦翔平のベビーカーでお出かけ姿 愛犬家マナーにも好印象

年寄株取得の目処立たぬ白鵬 コロナ引退の行く末には廃業の危機

井岡タトゥー論争に“男・山根”が参戦!「JBCは腹を切れ」

田中麗奈「なっちゃん」から23年!吹っ切れたカジュアルウェア撮
