また、1番でありつづけることがいかに難しいかについても書いておきたい。
どの世界でも1位付近では多くの個人やチームが、大抵は団子状態になる。その中でうかつなミスをしてしまうとそれは命取りになりうる。基本的に1番の人にはミスは許されないのだ。
僕の専門分野である、大学受験についても同じことが言える。
受験の場合、1番といっても「全国で1番」という意味の「1番」と、「全国で1番難しいところ」という意味での「東大理III」があるが、前者の意味する1番はえげつなく難しい。
僕は高校時代、ささいなミスすら命取りになるプレッシャーがひしひしと重くのしかかってきて、受験は楽しいものであると同時に嫌いでもあった。
4000番台くらいの人には、どうってことないだろう。しかし、1番の人が10点落として100番になるのは、かなり精神的にダメージがくる。これほど、トップ層のプレッシャーはえげつないのなのだ。
「うわ~、ケアレスミスしちゃった~」という、受験あるあるなセリフひとつとっても、誰が言っているかによって、そのミスの重みは大きく異なるのである。
トップ層の人間は、このようなプレッシャーの中で戦っているから、受験を通して精神的にも鍛えられるのだ。
例えば、医学部の最難関の東大理III。2番目に難易度の高い大学といえば、東京医科歯科大学や慶應大学医学部があるが(これらは東大理Iや理IIよりもはるかに難しい)、それでも、東大理IIIに比べたら断然簡単である。偏差値以上に、実際の難易度の違いが大きいのだ。
なぜならば、東大理IIIは全国のトップ集団の中の争いなのに比べて、それらの大学はトップ集団を除いた中での争いだからである。
ただしこれは受験に焦点をおいた話であって、東大医学部が他大医学部に比べて優れている、ということを言っているわけではない。むしろ開業するなら私立大医学部のほうが良いのではなかろうかとも思う。
話がそれたが…、ともかく、中高を過ごした筑駒(筑波大学付属駒場)の友人たちの実績を見ると、最初から東大理IIIを目指していた人たちのほうが、他大にレベル下げした人よりも合格率が高かった。東大理IIIを目指すならば全力を尽くすが、目標のレベルを下げると、やはりどこかで手を抜いてしまっているのだろう。
だから、目指すならば必ず1番!である。
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針間貴己(はりま・たかき)。19才。この春、現役で大学受験の最難関である東京大学理科Ⅲ類に成績上位入学。現在は学業のかたわら、学生起業家としてアプリを開発するほか、「日本一チャラいイマドキ東大生(イマ東)」としてのテレビや雑誌などメディア出演も多い。夢は、医療系ベンチャーの起業で世界を変えること。ツイッター(@harimatakaki)での発信にも注目が集まる。