国内

佐野眞一氏「SEALDsは若いのに老齢化して悟りきっている」

SEALDsの若者たちと佐野眞一氏(左)

 ノンフィクション作家・佐野眞一氏が3年ぶりに上梓した『唐牛伝』(週刊ポスト連載時は「一九六〇 唐牛健太郎と安保の時代」)は、六〇年安保を牽引した全学連委員長・唐牛健太郎の人物伝である。

 佐野氏が「そこに日本の青春時代が映っている」と話す1960年代はどんな時代で、現代日本はその時代から何を学ぶべきなのか。佐野氏が解説する。

 * * *
 高度経済成長とともに大衆化していく日本社会を憎悪したのが、唐牛の一回り年上の三島由紀夫だった。

 三島は割腹自殺を遂げる4カ月前に〈このまま行ったら「日本」はなくなってしまうのではないかという感を日ましに深くする。(中略)その代わりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、或る経済大国が極東の一角に残るのであろう〉というエッセイを書いている。その予言は見事に的中した。

 私は、全学連の若者たちの足跡を追うなかで、彼らも無意識に三島が言うように日本が大衆化した国家になることをうっすらと感じていたのではないかと思いはじめていた。六〇年安保とは、三島の死の10年前に、日本の将来に不吉な翳を見た若者たちの抵抗だったのではなかったか、と。

 六〇年安保では、唐牛の目にも、そして対立した岸の目にも、日本という国家の亀裂がはっきりと見えていた。しかしその10年後の全共闘(※注)で軟弱な学生運動をからかった三島は、ついに国家の正体を見破ることはできなかった。

【※注/全学共闘会議。60年安保後、全学連は弱体化。分散した学生運動を、1968年から1969年にかけての大学闘争において再び結集させた学生組織が全共闘である】

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
女性セブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン