「ネイティブアド」とは「デザイン、内容、フォーマットが、媒体社が編集する記事・コンテンツの形式や提供するサービスの機能と同様でそれらと一体化しており、ユーザーの情報利用体験を妨げない広告」を指す。食べログの検索結果に「広告枠」が含まれるなら、まさしくそれはネイティブアドであり、そこには当然のように[広告]と明記する必要があるはずだ。
このガイドラインが策定されたのは2015年の3月。いわゆる「ステマ」騒動などもあり、前年、2014年の8月に発足した「ネイティブアド研究会」が会を重ね、半年以上かけて策定されたものだ。現在のWebにおける記事広告やPR記事は、ほぼこのガイドラインに沿った形で運用されている。
そういった事実をネット界隈で、「広告」や「PR」絡みの業務に携わる人が知らないわけがない。「インターネットメディア事業」が基幹事業である以上、「広告枠」に「広告」タグがないのはユーザーに対する背信行為であり、「ランキングを操作している」という印象を持たれても抗弁しづらい仕組みとなってしまっている。
「食べログ」「ぐるなび」「Retty」「ホットペッパー」などの飲食店検索サービスやアプリには、事業者ごとに特徴があるが、そもそもグルメ系の口コミサイトといえば、2000年代前半には「東京グルメ」というWebサービスがあった。少数精鋭版食べログといった趣で、情報の信頼度は高かったが、「食べログ」に飲み込まれるようにそのポジションを失い、事業譲渡を繰り返すことになってしまう。
栄枯盛衰は世の習い。生き残るサービスに共通するのは、「ユーザーのニーズをすくい取っている」こと。ブレることなく、提供するサービスを最適化していく。その姿勢が簡単そうでありながら、実はとても難しいことは飲食店の店主もよくご存じのはずだ。ベンチマークは意外に身近なところにあったりするのかもしれない。