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結婚しない奈々子43歳 君の名は。を見て落涙した理由

仕事が再優先、ただ淋しさがないわけじゃない(写真:アフロ)

 40代独身女性の本音に迫る人気シリーズ、第1回「41歳、優子の場合」、第2回「42歳、美希の場合」は大きな反響を得た。生涯未婚率が高まる中、平成22年度の国勢調査結果によると、40代独身女性でその後の10年間に結婚した人は、たったの「1%弱」。一方で、いま40代の独身女性の30%強が、「結婚願望がある」と答えている(※)。40代独身女性は結婚を、したくなかったのか、できなかったのか、これからするのか。理想と現実のはざまに揺れる女たちのそれぞれの事情。第3回は、「結婚はしない」と言い切る43歳、奈々子の場合をお届けする。(※明治安田生活福祉研究所「20~40代の恋愛と結婚」より)

 * * *
■43歳、広島県出身、東京都在住、派遣社員・イラストレーター、奈々子の場合

「若い頃から恋愛体質じゃなかったんです。これまでに付き合った人は3人。少ないですよね。結婚したいと思ったこともないし、これからするつもりはないです。未来に絶対はないけれど、今のところは。でも、そうやって恋愛や結婚を人生から排除する自分を、淋しい人間だな、とは思っているんです」

 日曜の昼下がり、代々木公園近くのカフェで、奈々子はゆっくりと言葉を紡ぎはじめた。広告代理店の派遣社員として働きながら、イラストレーターとしても活動する。ファッション大好きというaiko似の43歳。

「線を描いているときが一番気持ちいい。それは仕事でも、単に趣味で描いているときも同じです。上手く描けなくて何度も直したりと苦労はありますが、気持ちいいことに変わりはない。こんな快楽を与えられちゃったから、恋愛に興味のない人間になっちゃったのかな(笑)」

 大阪の美大を卒業後、関西でフリーターをしながらイラストレーターへの道を模索してきた。絵の仕事を増やしたいと一念発起して29歳で上京。以降、派遣社員との二足のわらじを続けている。一般事務に加えてパソコンやDTPを使いこなす奈々子は、これまでのところ、派遣の仕事は途切れたことはないという。

「東京に出てきて一番よかったのは、絵の仕事が増えたこと。雑誌や広告のワンカットなど、まだ小さい仕事が多いですが、とてもありがたい。もう一つが、映画をたくさん見られること。映画は今、だいたい週2、3本ですね。東京の友人のほとんどは、映画を通じて知り合った人たち。SNSやイベントで増えていき、男女問わず、歳の離れた友人もたくさんいます。中には、年間300本見るというツワモノも。大人になってからもなお、新しい友達ができることがとっても嬉しいんです」

 話題作やハリウッド映画など、ジャンルを問わず見るが、好きなのはアニメだという。

「昨日やっと、大ヒットしてる『君の名は。』を見て来たんです! 1人で来ている40代女子なんて誰もいないだろうと、恐る恐る行ったんですが(笑)、映画が始まったら、あの絵と世界観に吸い込まれました。ただ、ちょっと悲しすぎる過去を思い出しちゃったんですよね……。エンディング、RADWIMPSの『Nandemonaiya(なんでもないや)』を聴きながら、年甲斐もなく、涙がこぼれてきて」

 少し遠くを見やると、奈々子は18歳で初めて付き合ったという美大の同級生との思い出を語り始めた。

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