たとえば、大御所が登場して話題になったのが、『ゴルゴ13』シリーズ。高倉健主演の映画版は、外見よりも無駄口が一切なしという雰囲気がよく出ていたし、千葉真一版は眉毛とネクタイ、ゴルゴの二大極太要素をきっちり表現して、インパクト抜群である。
今も名作として語り継がれるのは、1978年のドラマ『浮浪雲』。商売を嫁と番頭に任せてふらふらと町を歩き、通りすがりに女の子のお尻をぺろんと触ったりするチャラい中年男(ただし、本当は骨も身もある)を渡哲也が演じた。後にこの役はビートたけしも演じたが、飄々とした不思議な雰囲気では渡哲也のほうが、ジョージ秋山の原作により近かった。
近年、原作によく似ていた実写版といえば、『鈴木先生』の長谷川博己、『闇金ウシジマくん』の山田孝之、『ど根性ガエル』の松山ケンイチなどが思い浮かぶ。まさか実写になると思わなかった『ハクション大魔王』の村上信五にはびっくりだった。
そして忘れてはいけないのが、『サザエさん』である。古くは昭和のスター江利チエミが主演した実写版。その視聴率は37%を超えたという人気ぶりだった。
その後、星野知子、浅野温子、観月ありさが元気のいいサザエさんに。まだまだこの伝統は受け継がれていく気がする。そして、私個人の「マイベスト実写キャスト」は、この観月ありさ版『サザエさん』に登場した、武蔵の穴子さんであった。何もしてないのにあまりに似ていて、腹を抱えた。もし、また『サザエさん』を実写化するときにも、穴子さんは武蔵にしてほしいというのが私の密かな願いである