オリンピック、パラリンピック閉幕後の現在は、ワイドショーやバラエティー番組にメダリストが多数出演しているし、恐らく年明けの新春特番あたりまで、彼らは「スペシャルゲスト」として各番組から引っ張りだこになるだろう。
だが、そのオファーを“情報班”や“バラエティー班”は勝手にやってはいけないのである。「まずは、スポーツ(局)に、お伺いをたててからじゃないと」「我々が勝手にやっちゃうと、あとからスポーツが鬼の形相で飛んでくるからね」「あとで何かあったら、もう二度とウチの局には出てもらえなくなるらしいし」と、情報やバラエティーのチーフプロデューサーはビクビクしている…と言っても過言ではない。
そこには、各競技の協会の「規則が厳しい」という理由もあるようだが、上下関係や規律を重んじる“体育会系”の社員が数多く属しているテレビ局のスポーツ局もまた、とても厳しい部署なのである。
そんな人たちに囲まれて、昨今はバラエティー番組出演も多い岡副麻希は、繰り返しになるが精一杯、頑張ってくれたと私は思っている。
一方、「ジャンくん」こと江宏傑選手のワンショットの挨拶から始まった台湾での結婚会見はずいぶんソフトな雰囲気だった。
イケメンで、芸能界からオファーがあるとも聞くジャンくんは、どう振る舞えばマスコミが喜ぶかをよく知っている人だと見た。
いきなり、ご両親から愛ちゃんへのサプライズプレゼントや、「永遠」を意味する薔薇の花束を愛ちゃんに渡したのを始め、終始笑顔で、さまざまなエピソードを話してくれた。
残念だったのは、箱に直接リボンをかけて、その場で開封しやすいようにしてサプライズプレゼントを渡したのに、愛ちゃんが最後までリボンを解かなかったことだ。きっと愛ちゃんはアスリートとして「ちゃらちゃらしてはいけない」と叩き込まれているのだと思う。
それでも、ジャン君の姉のアドバイスによるヘアメイクやドレスで現れ、幸せぶりだけでなく、女っぷりも劇的にアップさせた愛ちゃんは本当に美しく、イケメンのジャンくんと共に文句ナシの超有名人夫妻が誕生したというワケだ。
愛ちゃんが台湾のルールに則った発音で挨拶をしたり、月面の土地をプレゼントしたエピソードを話したりするたび、最高の笑顔と補足コメントをするジャンくんの好感度もまたアップした。
会見場での質問だけでは足りなかったのか部屋の外に用意された椅子とテーブルで、互いの左手を重ね合わせて、ツーショット写真撮影や追加質問に応じていた愛ちゃんとジャンくん。
カメラや報道陣の多さでも日本より勝っていた台湾での会見場には、どうやらスポーツ担当以外の記者やアナウンサーも居たようで、内容も、二人の表情も、ずっと幸せそうに見えた。
男と女の間…ならぬ、日本のテレビ局における「バラエティーや芸能」と「スポーツ」の間にある深くて暗い溝は、どうにかならないものだろうか。2020年の東京五輪に向けて、アスリートのテレビ出演はもっと増えると思うので…。