日本の場合はゴールデンウイークやシルバーウイーク、お盆、年末年始にバケーションが集中しているわけだが、今後はアメリカスタイルで自分の好きな時に1~2週間の休みを取れるような工夫をしなければならない。そうやって休みを平準化しないと、日本のツーリズム産業は成長しないと思う。そもそも国が祝日や連休を増やして国民を強制的に休ませようとすること自体、大間違いなのだ。

 また、日本は1人あたりGDPが欧米より低く、初任給も大卒で平均月額20万円程度と、この20年くらい上がっていない。これは生産性が向上していないことの証左にほかならない。雇用を減らして1人あたりの生産性を高める努力を、企業が怠ってきたからである。つまり(雇用が大幅に減る)生産性の改善こそが日本企業に求められる最優先項目ということになる。

 働き方・休み方改革は企業が各々の社内事情に応じて自主的に取り組むべき副次的な課題である。それを安倍政権は人気取りのために「働き方」を企業に一律的に押しつけようとしているわけで、これほどのポイント外れの愚策はない。さっさと引っ込めるべきである。

※週刊ポスト2016年9月30日号

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