「駅前の看板を見てもわかるでしょう。私ら長嶋さんの故郷ってことで散々町おこしをしてきました。記念館作って、球場も作った。今更文句言うのはどうなんだろう…。そんな気持ちがあったんです」
地元住民の1人がポツリと話すように、彼らは「長嶋茂雄」という名前に、恩恵を受けてきた。だが、住民の感謝の念を塗りつぶすほど、廃墟の弊害は今やのっぴきならない所まできている。
「クレームを入れようにも、住人がいないんですから。万一、火事が起きたり、倒壊したら隣近所は大惨事になります。子供たちにも実害が出ている。本音を言えば、茂雄さんがどうにかしてくれるのがいちばんなんですが、今まで放置されている時点で望み薄でしょう。私たちはもう限界です。今は行政代執行による強制解体ができると聞いて、残された道はそれしかないと、みなで話し合っているんです。あの家は、一日も早く更地にした方がいい」(前出・別の近隣住民)
町内会の会長も本誌・女性セブンの取材にこう証言する。
「実は、長男の生前から草木の弊害は出始めていて、町内会から手入れするよう申し入れたことがあったんです。でも、門前払い。手紙を入れたら今度はポストをガムテープでふさがれました。誰も住まなくなったら一層手がつけられなくなり、この状況です。住民一同、本当に迷惑しております。近く町内会で意見をまとめ、強制解体も含めて解決してもらうよう、市役所に直訴する予定です」
女性セブンは10月初旬の週末、長嶋の生家を所有する親族男性のA氏を訪れた。現在、高校で教員を務めるA氏だが、この日対応したのは妻だった。
──佐倉市の長嶋茂雄さんの生家について、Aさんにお話を伺いたいのですが
「えーと、主人に繋ぐことはできません。無理です」
──現在の所有者はAさんですよね
「そうですけど、何もお答えすることはありません」
──手入れが一切されず、近隣住民が困り果てています
「そういうの、よくわからないんで」
──今後、Aさんではなく、他の長嶋さんの親族が生家を見ることはないのですか
「特にそういうことはないでしょうね」
──このままだと強制解体もありうる状況です
「…。すみませんけど、もう失礼します」
それだけ話すと自宅に戻っていった。
※女性セブン2016年10月20日号