そういう人が次の年の受験生の親を裏口入学ブローカーに紹介してしまうんです。知り合いなどに“どうやって合格したの?”って聞かれると、“こっそり教えてあげるけど、〇〇さんに頼んだのよ”と言って、次のカモをブローカーに紹介する。ブローカーも毎年10人前後をだまして、そのうち1人は合格したりするので、そういうことを実績として生き延びてきた人はいました」
一方で前出・鈴本さんの直感は外れていない。絶対匿名を条件に、都内の小学校お受験のための有名幼児塾の現役社員X氏が、最近の裏口入学の実態を明かす。
「どう見てもこの子はあの小学校には入れないって子が合格して、室長が“裏ね”って、手でお金の合図を送ったりしていたこともあります。
口利きはその学校に現在もかかわっているというよりも、元理事長とか元○○みたいな人が多い。そういう人はその学校の仕組みも知っているし、ツテもある。正直やっぱり私立はお金が欲しいからね。よっぽどできない子はダメだけど、ちょっと合格点に足りないぐらいなら、点数を加算してあげるっていうことで裏口入学させていた。なかにはお金は預かるけど、試験の点数が問題外の場合はお金は返すから不合格っていう条件つきも過去にありました」
ただそれも、最近はほとんどなくなっているという。その理由が、学校現場の苦悩だ。前出の石井さんが明かす。
「ある有名校の話です。その学校の理事長が、知り合いの仲のいい人の孫を合格させてくれっていうので、入学させたそうなんですよ。そうしたら、その孫がとんでもない子供で、現場の先生たちがとても苦労して、6年間大変だったと。だから理事長に、“いくらもらったか知らないけど、現場が大変なんだからやめてくれ”と突き上げたって、現場の先生から聞きました。それから二度と理事長は無理に入れなくなったそうです」
一方の親の方からも、裏口のアプローチが減っているというのは、前出のX氏。
「コンプライアンスが厳しくなってきて、失敗したらニュースになる。しかも、すぐにネットで調べられるでしょう。そこで名前でも上がったら、その時点でその子の人生は終わり。就職する時だって、ネットで調べられて過去の裏口入学のことがバレたら、就職も結婚もできないだろうし。皮肉にもネット社会が裏口を抑制しているところはあるような気がします」
※女性セブン2016年10月27日号