「投手・大谷が1アウトを取るのにかかった金額は23万円。打者・大谷は1塁打に対して52万円がかかった計算になります。
ランキング化すると大谷のコスパの良さがよくわかる。広島25年ぶりの優勝を支えた黒田博樹(41)は1アウトに131万円がかかっているし、2年連続『トリプル・スリー』のヤクルト・山田哲人(24)も1塁打あたりのコストは75万円。他球団で活躍した選手と比べても、大谷の割安感は飛び抜けている」(広尾氏)
ちなみに、今季最終戦で1イニングだけ投げたソフトバンク・松坂大輔(36)は、1アウトに1億3333万円がかかった計算だ。
「投手としても打者としても、他球団の2億円超えクラスと比べて倍以上コスパがいいと考えると、投手2億円、打者2億円の4億円でも安い。巨人の選手のコスト感を見ると、10億円払ってもいいくらいです」(広尾氏)
実績のあるベテランが割高になりがちとはいえ、決して大げさな数字とはいえなそうだ。たとえば、今オフにFA権を獲得するオリックスの糸井嘉男(35)について、「『4年20億円』といった複数年の条件を出す球団が出てくるのでは」(球団関係者)とみられているが、その糸井の成績を見ると、.306、17本塁打、70打点で、「打者・大谷」とほとんど変わらない。
つまり、「打者・大谷だけで、『4年20億=年俸5億』の価値があるとさえいえる」(同前)のだ。
もちろんこれは、“そのくらいもらっておかしくない活躍をした”という話だ。当然ながら、球団側には他の事情も出てくる。
「巨人の年俸総額が事実上、青天井なのに対して、日ハムの場合は総額25億円あたりがリミットといわれている。チームが優勝したわけだから、他の選手も年俸アップを期待している。大谷ばかりを厚遇すれば、チーム内の不協和音につながるでしょう。球団側は将来の大谷のポスティングの際の移籍金を見込んで、多少は総額のキャップを緩めるかもしれないが、それにも限度がある。ダルビッシュ有の日ハム5年目(2億7000万円)は超えるとして、どこで線を引くかは難しい」(スポーツ紙デスク)
ポストシーズンの結果とともに、今オフの大谷の契約更改が楽しみだ。
撮影■山崎力夫
※週刊ポスト2016年10月28日号