国内

皇室御用達 「質の良いものを長く使う」が伝統的な考え方

質のよいものを長く大切に使い続けるのが皇室の伝統

 10月3日の放送開始以来、毎回、20%前後の視聴率を記録し、好調なスタートを切っているNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』。ヒロインの坂東すみれ(芳根京子)は子供服専門店「ファミリア」の創業者・坂野惇子さんをモチーフにしている。ファミリアは皇后美智子さまが同社の製品を使用したことで、知名度が一気に上昇するなど皇室と縁が深く、ドラマでは美智子さま役を誰が演じるかにも注目が集まっている。

 1960年の浩宮さま(現・皇太子さま)ご誕生のおり、ファミリアは高島屋を通じて出産用品やベビー家具など80点以上を皇室に納めた。「海外のいいものを柔軟に取り入れていく」一方で、「伝統を大事にする」というファミリアの理念に共鳴された美智子さまは、礼宮さま(現・秋篠宮さま)、そして紀宮さま(現・黒田清子さん)にもファミリアの製品を愛用された。

 業者にとって最高の名誉といっても過言ではない「皇室御用達」の称号。制度として始まったのは1891年(明治24年)の「宮内省御用達」からだった。皇室ジャーナリストの久能靖さんが語る。

「それより以前は禁裏御用といって、限られた業者だけが京都御所に出入りしていました。しかし、明治維新が始まり洋風が重んじられるようになると、洋風化した商品の需要が増える一方で、いい加減な商品も多くなった。御用達制度ができたのは、品質の向上を図ることが1つ。同時に、日本の伝統もなくしてはいけないと、宮内省がお墨付きを与えるようになったんです。戦後、宮内省が宮内庁になって、特定の業者だけをひいきするわけにはいかないと、商業活動の平等化を図るために制度は廃止されました」

 ところが、制度がなくなった今でも「皇室御用達」の看板を掲げる店がある。いったいなぜ?

「昔の名残でしょう。宮内庁も黙認しています。御用達だった業者は、非常に質の高いものを作ろうと励んできたし、誇りもある。現在も皇室に商品を納め続けている業者もたくさんあります」(久能さん)

 久能さんによれば、質のよいものを長く大切に使い続けるのが、皇室の伝統的な考え方だという。

「天皇陛下が初等科に上がられたとき、カメラが好きで、新しいものを欲しがられたそうです。しかし昭和天皇は新しいものである必要はないと、お下がりのカメラをお渡しになった。そのお心を受け継ぐように、皇太子さまも初等科の入学式には新品の制服を着用されましたが、翌日からは天皇陛下のお下がりを着用して通われたと聞いています」(久能さん)

 御用達の「逸品」には、天皇家の“質素倹約”の精神が込められている。

撮影■雑誌協会代表取材

※女性セブン2016年11月3日号

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン