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2016.10.28 16:00  週刊ポスト

若い女性に急増 「梅毒」は咽頭炎や扁桃炎にも疑いを

 梅毒は、梅毒トレポネーマという病原菌により、ゆっくり進行する感染症で、皮膚や粘膜に発疹を生じる。一時は横ばいだった患者数が2012年から急増している。

 厚生労働省の性感染症報告数によると男性では20代、30代、40代の増加が目立ち、女性は20代が圧倒的に多く、この年代だけみると2015年は前年に比べ約2.3倍になっている。2016年8月までの段階で昨年の報告数を超えており、増加のスピードが一層加速している。梅毒の1回の性的接触で感染する確率は15~30%と高く、性交やオーラルセックスだけでなく、ディープキスでもうつるといわれている。

 東京女子医科大学東医療センター耳鼻咽喉科余田敬子准教授に聞いた。

「梅毒は、感染して3週間ほどで梅毒トレポネーマが体に入った部分に小豆、または指先ほどの大きさの硬いしこりが生じますが、自然と消えるので気づかないこともあります。感染から3か月過ぎた頃より、皮膚や粘膜に発疹症状が出ます。梅毒による咽頭炎は、この頃に生じます。

 性器や皮膚に症状がないと梅毒だと気づかれず、普通の咽頭炎や扁桃炎として医師から抗生剤を処方されることがあります。その場合、症状が一時的に消えても、梅毒は完治していないので注意が必要です」

 梅毒性咽頭炎は、オーラルセックスがなくても起こる。咽頭に蝶が羽を広げたような白い粘膜斑が出るのが特徴だ。粘膜斑は咽頭以外にも、舌や口角に生じることもある。

 これまで女子医大東医療センター耳鼻科で診断された梅毒患者27人のうち、性器に症状があったのは1人で、発疹があったのは5人だけだった。また、25人は咽頭痛で耳鼻科を受診しており、患者本人は梅毒を疑っていなかった。

 梅毒の検査は、皮膚や粘膜から梅毒トレポネーマを検出する方法と血液検査で梅毒の抗体を調べる検査方法の2通りあるが、通常は抗体を調べる方法が用いられる。

 治療はペニシリン系の抗菌剤を4週間から8週間、抗体検査で体内の菌が消滅したことを確認できるまで服用することが重要だ。

「20代女性の梅毒感染の増加に伴い、梅毒に感染した妊婦から胎盤を通じて胎児が感染する先天性梅毒も増加しています。心臓病の手術前の乳児に血液検査をしたところ、梅毒が見つかり、そこから両親も調べたら、2人とも梅毒だったというケースもあります」(余田准教授)

 先天性梅毒も、2014年は10人、2015年は13人と2年連続で患者数が増加した。先天性梅毒は、流産死産の原因になるだけでなく、学童期に難聴、リンパ節や肝臓の腫れといった症状も起こる。

 これまでに性交渉した相手の多い人や、そういうパートナーを持つ人は、梅毒検査を受けてみることを薦めたい。梅毒に感染したら、自分だけでなくパートナーにも検査・治療を促し、感染を拡げないようにすることが大切だ。

■取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2016年11月4日号

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