■慶應より英会話講師をとるなんて

 41歳の時、友人の紹介で、お見合いをしました。お相手は49歳の慶應を出たエリートで、バツイチだけど仕事に理解もあり、穏やかな方でした。でも、「大人同士の結婚だから、できるだけ互いの生活を大切にしましょう」と言われた時に、「違う」と思ったんです。私がこれから結婚するなら、むしろ互いの生活に踏み込み、互いの生活を変えるようなものでなければ意味がないのではないかと、思ったのです。

 一方、英会話講師の彼は、出会った当初から私を褒めてくれました。カワイイ、カワイイと。そして、一緒に住みたいと。話していて汗が出てきますが、やっぱり嬉しかった。私たちは英語と日本語を混ぜて会話をしています。が、彼の日本語は片言だし、私の英語は片言なので、はっきりいって深い話はできない。仕事の相談などは無理ですね。それでもいいと思いました。だってもう二度と、私をカワイイなんて言ってくれる男性は出てこないだろうから。

 慶應より英会話講師をとるなんて……、と、はっきり言われたこともあります。でも、そもそも、適齢期で普通に結婚できなかった私です。こういう人間なんだから、安定よりも、思いもよらない人生を楽しみたい気持ちが勝りました。これは、私のプライドだったのかもしれません。

 彼は付き合っていればOKというところがありましたが、私が結婚にこだわりました。押したのは私、だから、不安はあります。彼の仕事は不安定だという生活の不安。でもこれは、私が働いているから、何とかなるかな。それから、将来的にオーストラリアに帰りたいのかなど、二人でクリアにしていかなければいけない問題があります。

 一番は、気持ちですね。10歳下の彼の気持ちが、いつまで私に向いているのか……。まだ34歳だし、先のことは本当にわかりません。捨てられちゃうかもね(笑)。でも、私が歳をとっているからこそ、できることもあると思うんですね。いまは彼の仕事について、二人で相談しています。調理師免許をとるなど私が支援できることもあるだろうと。貯金は減りつつありますが。

 最近読んだインタビューに励まされたんです。『永い言い訳』などの映画で知られる映画監督の西川美和さんが<自己完結したままでは、もうドラマは生み出せない>と言っていました。もちろん私はクリエーターでないので西川さんが言うところのドラマは生み出しませんが、人生、44歳からドラマが始まると考えると、晩婚も悪くないと思うんです。

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