参議院議員選挙の直前、安倍は周辺にこう漏らした。
「鈴木さんと私が組むというのは、昭一さんにとっては複雑な心境だろうなぁ」
元財務大臣・中川昭一の父、中川一郎の秘書を務めていた鈴木宗男と中川家との間には、壮絶な軋轢の歴史(※注2)がある。
【※注2/鈴木氏は中川一郎氏から絶大な信頼を受け、「中川の金庫番」と呼ばれたことも。ただし生前から一郎氏との確執が取り沙汰され、同氏死去後の1983年衆院選では後任候補として出馬を試み、遺族の反発にあう。結局、長男・昭一氏も選挙に出馬。昭一氏は自民党の公認候補としてトップ当選、一方の鈴木氏も自民党の公認が得られなかったものの下位当選を果たした。この選挙は「骨肉の争い」としてマスコミで大きく報じられた。】
昭一が2009年秋に不慮の死を遂げるまで一貫して盟友として行動を共にしてきた安倍が、その仇敵ともいうべき鈴木と組むというのはよほどの事なのである。こうして安倍は今年2月以降、北方領土問題解決に向け内外で打てる全ての手を繰り出して来たのである。
9月26日に自民党会派に入った貴子は、11月4日都内で結婚披露宴を開く。これには、安倍の側近中の側近、今井総理秘書官と北村滋内閣情報官が出席を予定している。
※SAPIO2016年12月号