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混乱の韓国 日本のネットでも同情される末期的状況

 盛り上がらぬ理由は「反日」が登場していないことに尽きる。韓国は余裕があれば反日的言動を取り、政権も支持率回復を狙う際は反日を用いる。朴氏就任直後で人気があった時の「加害者と被害者という立場は、千年経っても変わらない」発言や、李明博前大統領の支持率が劇的に下がった政権末期の電撃的な竹島上陸及び天皇への謝罪要求時、日本のネットには火がついた。

 その後の韓国世論がこれらの行為に賛同する様など、連日のように半島から「反日」が報告され、日本では「嫌韓」が増幅するという負のスパイラルが生まれた。韓国ネタで盛り上がるには、日本人にとっては養分たる「反日」が必要だったのだ。「反日」のない韓国ネタは日本人にとっても盛り上がるイシューにはなり得ない。

 今の朴氏が応急処置的に「反日」を言ってももはや韓国世論は収まらないだろう。「崔順実は実は日本人だった」ぐらいの事実が出てこない限り、「反日」を使う余地はない。通常、罵詈雑言が飛び交う2ちゃんねるでも、今回はあまりにもおとなしい。前出・財産没収に関する特別法についてもこんな意見が書き込まれている。

「こんなに恣意的に法律を制定できるんか 同じ民主国家とは思えんな」
「人権など1000年早いな」

 完全に突き放した意見になっているのだ。今回の騒動で韓国が民主主義国家としては未成熟であることが完全に露呈したが、サムスン製品の爆発が相次ぐなど経済的にも低迷する韓国は、「便所の落書き」とまで言われた日本のネットをもってしても、国のありようや非民主的な状況が同情されるような末期的状況になっている。

●なかがわ・じゅんいちろう/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウォッチしてレポートするのが仕事。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』など。

※週刊ポスト2016年11月25日号

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