10年前に夏の甲子園で「ハンカチ王子」旋風を起こし、全国制覇を果たした斎藤佑樹は、早実から早大に進学。大学卒業後に日ハム入りしたが、プロ6年間でわずか14勝。甲子園決勝で投げ合った田中将大(ヤンキース)とは大差がついた。
「もし斎藤が早実からそのままプロ入りしていれば、ここまで差は開いていなかったという見方が多い。プロと大学では指導者のレベルも、練習の量・質も全く違う。成長期にプロ水準の技術に触れる機会がない影響は大きい。それはバッターでも同じです」(同前)
とくに長距離ヒッターでは、中田翔(高校通算87本、大阪桐蔭→日本ハム)、鈴木健(同83本、浦和学院→西武)、中村剛也(同83本、大阪桐蔭→西武)など高卒プロ入り組がプロで実績を残す傾向が顕著だ。
「清宮で気になるのは、ファーストしか守れないところ。プロでは外国人かチーム一の強打者の指定席です。出場機会を得るのは容易ではないし、少しでも調子を崩せばすぐに外される。
斎藤もそうだが、甲子園のスターだと大学で特別扱いされがち。清宮も早大で“一塁さえ守れればいい”という環境になると、プロで大成しにくくなる。早大に進むメリットは大卒の学歴を手に入れて引退後の進路の幅を広げることくらいですが、清宮にとってどこまで意味があるか疑問です」(同前)
早実から早大、毎日オリオンズに進み、コーチ時代に榎本喜八や王貞治を指導した荒川博氏はこういう。
「進路は難しい問題ですが、清宮クラスが大学で大きく伸びることはないでしょう。だから僕はプロでやればいいと思う。メジャー志向もあるそうですが、高卒で即メジャーは無理。ただ、プロの高いレベルでやれば成長の余地はあると思う」
1年後、清宮はどんな“結論”を出すのか。
※週刊ポスト2016年11月25日号