こうした反響の大きさから、同社は来年も47都道府県バージョンを発売。地域ごとにまとめた「詰め合わせセット」を順次発売するなど販売チャネルも拡大し、320万ケースの販売を目指すと意気込む。
大手のキリンが挑む“地産地消”ともいえるビールの細分化戦略は、この先も有望なのか。『月刊BOSS』編集委員の河野圭祐氏がいう。
「昔からのビール党であるシニア世代にしてみたら、『キリンの一番搾りといえば、この味』という根強いこだわりはあると思います。でも、クラフトビールが流行しているように、特に若い消費者がビールに求める味は多様化していますし、いつまでもビールが単一ブランドだけで生き残れる時代ではありません。
また、モスバーガーが地方のフランチャイズオーナーの発案した商品を全国発売しているように、いまや量は追えなくても際立った個性やコンセプトを打ち出した商品が着実に利益を上げています。そう考えると、戦う“土俵”を変えつつあるキリンの戦略は賢明な選択といえそうです」
〈~お客様のことを一番考えている会社~もっと身近なビール屋へ〉が、布施社長が掲げる未来像だ。その言葉通り、大手ビール企業がどこまで“ビール屋”へと原点回帰できるか──。その成否によっては、日本のビール文化も大きく様変わりするだろう。