【色丹島(シコタントウ)】面積251キロ平方メートル(徳之島とほぼ同じ)/人口約2800人
斜古丹(シャコタン)ワンにはロシア国境警備隊の基地がある。中心都市・斜古丹の人口1850人のうち1000人は国境警備隊。返還後も中流の可能性ありか。
【歯舞群島(ハボマイグントウ)】
ロシアに制限されてきた漁業の自由度が増す。北方領土海域の密漁取り締まりや救難などの海上警備で、日本の海上保安庁が主導権を握れるか。
「色丹島の斜古丹湾にはロシア国境警備隊の基地があり、ロシア潜水艦の航行路である国後水道を管轄している。施政権が日本に移ってもこの基地を排除するのは難しいのではないか。そして、3島に居住するロシア人の裁判権をどうするかなどは、『地位協定』により定めることになるだろう」(山田氏)
その場合、ロシア国境警備隊と日本の海上保安庁が協働して周辺海域の航行の安全を守り、密漁や海賊などに目を光らせることが考えられる。
3島の施政権を得れば、漁業や観光の面でも進展が期待できる。とくに国後島の北半分はロシアにより「自然保護区」に指定され、手つかずの自然が残る。
「国後島を世界遺産・知床半島と一体的に考えれば、海域も含めた環境保全や観光開発を図ることが可能になるのではないか。乱獲を未然に防ぎ、豊富な海洋資源を持続可能な方法で有効利用する道も開けるだろう。また、北方領土は考古学者にも貴重な研究の場として期待されており、学術研究の拠点をつくることで国際的な価値を高めることもできる」(山田氏)
※SAPIO2016年12月号