一旦飲み始めるとやめられなくなるといわれる降圧剤。だが最近、この通説は覆されつつある。『誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方』の著者で、北品川藤クリニックの石原藤樹院長は「降圧剤は必ずしも一生飲み続けるものではない」と話す。
「2001年にオーストラリアのマーク・ネルソン博士が雑誌『アメリカン・ジャーナル・オブ・ハイパーテンション』に“特に生活改善の指導がなくても、42%の患者が降圧剤の中止後に最低1年間、正常血圧を維持できた”と報告しています」
石原氏はかつて自らも降圧剤中止の経過観察を実施した。2009~2011年の3年間、50歳以上の男女50人を、降圧剤をやめたグループと治療継続をしたグループの半数に分けて観察。その結果、治療を継続した25人は全員正常血圧を維持し、降圧剤の服用を中止した人では25人中20人が正常血圧を維持していた。
「これまでの論文や私の診療経験から総合的に見ると、すべての患者が降圧剤をやめられるわけではないが、高血圧患者の5割程度の人は降圧剤を中止しても問題ないと推測しています」(石原氏)
※週刊ポスト2016年12月16日号