ライターなんて日本語さえ書ければ誰でも始められる日本一安い商売である。そこで食べていけるかどうかは、取材する姿勢にかかっている。文章力が問われるのはもっとあとの話だ。
ライターの仕事で25年も生きて来られたのは、私の力ではなく私の取材に応じてくださった方々の力である。「カネになる文章の書き方」みたいなものを駆け出しの人が習っても、取材する姿勢がなければなんにもならない。ライターの良い文章とは、取材した相手の言葉に心が動かされて出てくるものだからである。
とはいっても紙の雑誌の凋落は止まらない。ライターがきちんと仕事をして、まともな対価を支払う編集部が閉じていく。代わりにパクリをする最下層ライターが登場し、一粒の汗もかかないで作られた「キュレーションサイト」なるものが我が世の春を謳歌する。時代の流れと人は言うが、ライターの首を絞めているのはライターである。