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12歳の娘の安楽死を決断した父と母の証言

◆「娘は6月に死ぬべきだったんだ」

 病気は、脊髄小脳変性症(SCD*)と推測された。神経の難病で、歩行時のふらつきや手の震えに始まり、ひどくなると、体の全機能が停止に向かう。

【*日本では、『1リットルの涙 難病と闘い続ける少女亜也の日記』(木藤亜也著=エフエー出版)で有名になった】

 日ごとに病状悪化を見せる娘が1歳半になった頃、エステラは、同じノイア村でアントニオと知り合い、恋に落ちた。難病の子供を支えながら生活していくことを、血縁外の父親となる恋人は、すんなり受け入れた。以降、娘が死去するまでの時間を分かち合う。

 2007年にクラウディアが生まれ、2014年にはアントンが誕生した。障害を持つ長女がいながら、もう2人の子供を育てようとする意欲は何だったのか。

「アンドレアが、兄弟を欲しがっているのではないか、と思ったこと。そして生まれたクラウディアは、姉が死んだら悲しむだろうと思い、もう1人生むことにしました。子育ては大変でしたがクラウディアは、アンドレアをよく世話して、私を助けてくれましたよ」

 長年にわたる睡眠不足の日々を、エステラは、笑顔を浮かべ、懐かしんだ。

「アンドレアは、夜9時に寝床に入るのですが、2時間後の11時には汗をたくさんかくので、まずはパジャマの交換。午前3時頃には体の向きを変えるために、また様子を見に行く。朝は7時に起きて、朝食を食べさせます。食事は12年間、毎日、同じで、肉、野菜、フルーツ3種類のコンポート食品に、牛乳ではなく豆乳に混ぜた180mlの哺乳瓶を1日3回。あ、それから、トイレも一人ではできないので、私が指を使って便を出していたわ。熟睡したことはなかったですね」

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