夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せてきたのは、ご主人(52歳)が地方公務員の奥様(54歳)。ご主人、かなりせっかちな性格です。
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赤信号を静かに待てないんです。ずっと足踏み状態で、赤から青になった途端、歩き出します。車が前を横切ると、「信号無視だ! 110番だ、110番! お前、車のナンバー覚えただろ? 何? 覚えてない? 何やってんだよ!」。私に八つ当たりです。
ガラスの自動ドアは、開く前に突き進み、顔面強打。エレベーターに乗ると、すぐに「閉まる」ボタンを連打。「そんなに押しても意味ないから」と指摘しても、「いや、ちょっと早くなる気がする」。
目覚まし時計も「どうしても早く目が覚めちゃうんだよなあ」と、鳴る時間の1時間も前に起きるんです。とばっちりを受けるのは私。自分が早く起きたから、暇なんでしょうね。私の耳元で「あと1時間で目覚ましが鳴るからな」。5分刻みで「55分後だ」って、うるさい! 寝かせて!
最近は、家事も手伝ってくれるようになったんですが、洗濯物を干したかと思いきや、「もういいだろ」と生乾きのままたたんでタンスへ。ほかの服まで臭くなってしまいます。食器洗いもそう。乾いてないうちに拭いてしまうので、布巾がビショビショ。その布巾で拭くので水分が残ります。また、掃除機は走って掛けるので、逆に埃が舞います。
さすがに堪忍袋の緒が切れ、「あなたってホントせっかちよね。一回、立ち止まってゆっくり考えた方がいいわよ」といいました。すると、「お前との結婚生活も30年目の『真珠婚式』だ。記念に真珠のネックレスでもプレゼントしようと思ったけど、せっかくのアドバイスだ。ゆっくり考え直してみるか」って、前言撤回! それは考え直さないで、今すぐ買って!
※週刊ポスト2017年1月1・6日号