2016年の日本経済界を揺るがした大企業をめぐるニュースの多くには、「創業家の強い影響力」という共通点があった。時に成長を押し上げる原動力になり、時に抵抗勢力になり、時に経営を危うくする。「畏るべき創業家」を解剖する。
売上高8兆円を超える最大手流通グループ。イオンの源流は、1969年に岡田屋、フタギ、シロという3つの会社が合併して共同仕入会社として誕生したジャスコである。
3社のうち、核になったのが「岡田屋」だ。初代岡田惣左衛門氏が四日市市に太物・小間物商「篠原屋」を創業したのが始まりで、5代目が「岡田屋」に改称。のちに“イオンの総帥”となる7代目の岡田卓也氏は、1946年に岡田屋社長に就任している。イオンの現社長はその長男で8代目の岡田元也氏。ちなみに、民進党前代表の岡田克也氏は元也氏の実弟である。
「ジャスコの設立時に岡田屋が最も大きな会社で、影響力も岡田氏が他を上回っていた。そのため、経営陣を岡田家が占めるようになり、徐々に自分の会社にしていったということでしょう。
ジャスコは他の流通企業とも業務・資本提携を進めていきますが、当初は“ゆるやかな連帯”と称し、独立した別企業として尊重する姿勢でした。それが1997年に経営破綻したヤオハンを救済して規模を拡大すると、これを契機に拡大戦略を推し進めていく」(『経済界』編集局長・関慎夫氏)
ヤオハンもまた創業家が経営する企業だった。創業家の和田一夫氏が社長に就任すると急激な拡大戦略を採ったが、それが裏目に出て会社は倒産。イオン傘下に入っている。