大河ドラマは11年ぶりという前田だが、これまで彼が出演した戦国大河ドラマはどれも好評を博している。大河ドラマ史上初の「戦国ホームドラマ」といわれた橋田壽賀子脚本の『おんな太閤記』(1981年)は、全50話の平均視聴率31.8%を記録。同じく戦国から江戸初期の橋田脚本の『春日局』(1989年)も32.4%。『功名が辻』(2006年)では、主である山内一豊(上川隆也)の妻千代(仲間由紀恵)を「にこにこしているところだけが取り柄じゃ」などと勝手なことを言い合う前田と武田鉄矢が『スター・ウォーズ』のC3-POやR-2D2のような名コンビぶりを発揮し、人気となった。
ちなみに前田の大河ドラマ初出演は、北大路欣也主演の『竜馬がゆく』(1969年)で岡田以蔵役。『龍馬伝』で佐藤健が演じた役かと思うと感慨深い。
また、もうひとりの「大河ラッキー男」は、語りを担当する中村梅雀。『天と地と』(1969年)以来、11作目の大河ドラマとなるが、『八代将軍吉宗』(1995年)で言葉をうまく話せず、苦しむ徳川家重を熱演し、高い評価を得た。その後、『葵 徳川三代』(2000年)では、助さん格さんを従えた水戸光圀(黄門様)として軽妙な語りを担当。こちらも評判となっている。
柴咲コウはじめ、大河ドラマ初出演の若いも多い「おんな城主直虎」にベテランが大河ラッキー風を吹き込むか。まず、序盤は顔にバッテンの傷をつけた前田吟ご隠居の「抜いちゃうよ」の張り切りに期待したい。