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トランプ氏 不動産屋の発想で沖縄問題を判断する可能性

作家・元外務省主任分析官の佐藤優氏

 トランプ氏の勝利によって、これまでの秩序は崩れ、想像をはるかに超える事態が起ころうとしている。佐藤優氏と手嶋龍一氏、インテリジェンスに精通する2人が激流を読み解く。

 * * *
佐藤優:その中国にとってもアメリカの今後の外交方針は大変気がかりです。トランプ氏は正式な外交関係がない台湾の蔡英文総統と電話会談を行った。台湾は中国の一部であるという「1つの中国」が、トランプ政権では大きく変わる可能性がある。いま中国は、アメリカの台湾政策を慎重に見極めている段階です。

手嶋:米台関係、米中関係の変化を機に東アジア情勢が大きく揺らぎかねません。

佐藤:第一に、北方領土問題。日本政府は、歯舞群島、色丹島の2島引き渡しを最低条件としてロシアとの交渉を進めています。どのような条件でなら返還が実現するのか。

  日米安保条5条では日本の施政が及ぶ領域については米軍が展開できると定められています。しかし返還された北方領土に米軍が展開することになるとすれば、プーチン大統領は、絶対に引き渡しには応じないでしょう。かといって北方領土を非軍事化すれば、日米同盟がまだらになってしまう。

手嶋:一方で、尖閣諸島がどう位置づけられるか。トランプ政権が尖閣防衛から手を引いてしまうおそれもあります。

佐藤:そうなんです。北方領土を考える上で尖閣は避けて通れません。

手嶋:しかもトランプ氏は尖閣諸島に日米安保が適用されるとはまだ明言していませんからね。

佐藤:尖閣に対してトランプ政権は、次の3つの立場をとる可能性が考えられます。1つ目はいまのオバマ政権同様に「適用範囲だ」と積極的に言う。次に「適用されるのか」と質問されれば「そうだ」とは答えるが積極的に発言しない。3つ目が尖閣については一切コメントしない。

手嶋:2010年、クリントン国務長官は、日米外相会談で、「中国が尖閣諸島に上陸すれば安保条約を適用する」と表明しました。さらにその後、オバマ大統領も同様の発言をした。この路線をトランプ政権が果たして引き継ぐのかどうか。もちろん中国は懸命にこれを阻もうとするでしょう。

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