午前中の発表が終わると、館内ツアーが行われた。焦点となっている「強制性」についてはどう説明しているのかと思って展示を眺めていると、次のパネルが目に飛び込んできた。
「『慰安婦』となった人たちは、強制されたのか、そうではないのかという議論があります。そのどちらであったとしても、実態は性的な暴力であったという事実に変わりはあるでしょうか」
いや、変わりはあると思うのだが。この論法でいくと、現在オーストラリアやアメリカなどに出稼ぎに行っている韓国人売春婦は、後年、性暴力を受けたと主張できることになる。
歴史学的な展示物は少なく、大半は慰安婦たちの「生きた証し」を紹介するもの。化粧品や手芸作品などが、陳列されていた。
展示終盤で目を引いたのが、日章旗を模したメッセージカード。ガイドスタッフによれば、「日本政府に対する抗議メッセージを書くことができます」とのこと。
すでに「欺瞞」、「反省」、「Say Sorry」などのメッセージが日の丸の上に太ペンで書かれ、壁一面に貼られていた。
※SAPIO2017年2月号